これだけは知っておこう!
1:不妊とは?
医学的定義では、「健康なご夫婦が定期的に避妊せずセックスを続けていて、2年経っても妊娠に至らない状態」をいいます。
2:不妊=女性が原因?
そんなことはありません。正確な統計は取れないのが現状(病院に行かれる方が少ないと推定される)ですが、原因不明のケースが約15%、女性不妊が約45%、男性不妊が約40%と報告されています(*参考文献『不妊ケアABC』)。草食系男子という言葉の流行が象徴していますが、男性不妊の割合(確立)は年々増加傾向にあるといわれています。
3:女性が妊娠するための必要条件
①受精・卵分割機能を有する卵子がある
②受精・卵分割機能に適した卵管内環境がある
③受精卵の着床に適した子宮環境がある
④子宮内膜症や卵管癒着などがない
⑤排卵から着床までの道のりに問題がない
4:病院でできないこと
①受精・卵分割機能を有する卵子をつくる
②受精・卵分割機能に適した卵管内環境をつくり、維持する
③受精卵の着床に適した子宮環境をつくり、維持する
④女性ホルモンのバランスを整える
⑤生理や排卵のリズムを維持する
5:病院でできること
①不妊の原因を探す
②排卵を一時的に誘発する
③ホルモンを一時的に補充する
④妊娠のタイミングを指導する
⑤人工授精・体外受精・顕微授精(※)で妊娠への工程を助ける
※人工授精:男性から採取した精液を女性の子宮に注入させる
体外受精:母体外(試験管内など)で精子と卵子を受精させ、その受精卵を子宮に戻す
顕微授精:精子を顕微鏡下で卵子に注入し、受精させ、その受精卵を子宮に戻す
6:各施術における妊娠率・出産率・料金
タイミング療法:約3,000~7,500円、妊娠率は1周期あたり約3%
人工授精:約5,000~20,000円、妊娠率は1回あたり約5~15%
体外受精:約20~45万円、妊娠率は1回あたり約15~20%、出産率は1回あたり約10~15%
顕微授精:約25~50万円、妊娠率は1回あたり約20~25%、出産率は1回あたり約15~20%
7:年齢と妊娠率
30歳を過ぎると毎年約3.5%ずつ「妊娠能力」が低下していきます。卵子もご本人と同様に加齢からは逃れられません。また、当然、老化の進行にも個人差がございます。普段から他人より疲れやすい、よく体調を崩す、冷え性であるといったお身体に自信のない方は要注意です。
8:不妊治療による妊娠率・生産率・流産率
このグラフでいう生産率とは、不妊治療により妊娠して、実際に出産に至った割合です。
流産率とは、不妊治療により妊娠したけれども、出産まで至らず流産してしまった割合です。
グラフからもわかるように、35歳くらいから生産率は低下、流産率は上昇と大きな変化を示しています。
定義としては2年ですが、お子様を望んでいて夫婦生活1年で妊娠の兆候が見られなければ、専門家に相談することをお勧めします。早め早めの対処が肝要です。
(日本産婦人科学会の資料より。グラフ左端の上から順に―妊娠率/総ET(胚移植を実施した周期)、―妊娠率/総治療、―生産率/総治療、―流産率/総妊娠。横軸は26歳~50歳。縦軸左の妊娠・生産率は0~50%/5%ずつ、右の流産率は0~100%/10%ずつ)
※ARTとは⇒生殖医療技術、生殖補助医療などとも呼ばれる体外受精や顕微授精のように体外で生殖医療をする技術のこと。
9:不妊治療費助成制度
原則的には以下の条件になります。
○対象⇒保険適用外である体外受精と顕微授精
○回数・期限・金額⇒1年度あたり1回15万円までを2回(初年度のみ3回)までとされ、通算5年で合計10回まで助成されます
○所得制限⇒夫婦合算の所得が730万円未満であること
○指定医療機関⇒あり(治療を受ける医療機関の限定)
ただし、各自治体によって助成内容や条件が異なります。興味のある方は在住の自治体にお問い合わせ下さい。